Silent Poison

結局、彼らは宿屋のなけなしの好意により、またしてもクラッカーとチーズ、干し肉に化けてしまった朝食を、今度は屋外で済ませることになった。

シルバーナイトの村は、修行中のナイトたちによる労働力もあって、みるみるうちに復旧していった。ロッソは森へ材木伐りに、マイは井戸に洗濯に。宿屋の板塀を修復し、彼らがやっと普通の食事にありつけたのは、もう太陽が頭上を通り越した後だった。

村のドワーフが、さっそく新しい壁新聞を書いて伝書鳩で配信している。

「alerting(警戒情報)、knighthood(通報されたし)、シルバーナイトの村、急襲される。モンスター数百匹。

18日早朝、シルバーナイトの村が多数のモンスターに急襲される事件が起きた。さいわいにも早期に気づいた冒険者や見習いナイトたちの活躍でケガ人は出なかったが、村は大きく破壊された。今月11日には隣町のハイネ都市で同様のモンスター流入事件が起きており、アデン王国当局は各町の警備隊に町周辺の巡回強化を通達するとともに、事件の情報について知っていれば速やかに王立騎士団に通報するよう国民に求めた。犯人にかける賞金については、未だ犯人や動機が確定していないことから、無関係の第三者が賞金首として襲われる恐れがあるとし、今回も見送るとしている。」

結局、今回も謎は解けなかった。誰が、何のためにこんなことをしているのか。次もまたどこかの町が襲われるのか。解決はもう少し先になりそうだった。

「まあ気にすんなって隊長!やるこたぁやったんだから!」

「まあ、そうだな!ワッハッハ!けが人もなかったし、万々歳だ!」

かくして、シルバーナイトの村はもとの平静さを取り戻していった。完璧な勝利だった。多くの見ず知らずの冒険者たちが協力し、全員無事で済んだ今日の事件は、きっと見習いナイトたちのあいだで語り草となるのだろう。

彼らは最後まで、一人だけ重大なダメージを受けた者がいたことに、少しも気がつかなかった。村の片隅で、スパゲッティ・ミートソースの精神的ショックでチルムが屍になっているのを彼らが発見するのは、しばらく後の夕飯時のことだった。

「しく…しく…しく… orz」

to be continued...

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