ふむ…あれからだいぶ経ったのお
。
アデン最高の工芸師を目指して故郷
を離れて船に乗り、この地に初め
て足を踏み入れた瞬間の興奮は今
でも記憶に新しいのお。それにし
ても、こんなに変わってしまうと
は。
ただの老いぼれに見えるかもしれ
んがな、わしは国王陛下が認めて
くださった工芸師なのじゃ。ほっ
ほっほ。ギランの工芸店はわしの家
なんじゃよ。
一番弟子のアントンがわしの後をし
っかり継いでくれているおかげで
、こうしてのんびりと全国を回り
ながら余生を過ごせるわい。
死ぬ前にわしの心の故郷グルーディ
ンの村に行くのが夢じゃったが、
戦争のせいで行けんかったのじゃ
。
戦争も終わり、盛大なフェスティバ
ルが開かれるというげな。それで
老体にムチ打ってやって来たんじ
ゃが…
おじいさん、フェスティバルは楽し
かったですか。