ハンナ:

あたくしはライラお嬢様がお生まれ
になった頃から、お嬢様の身の回
りのお世話をいたしておりました
。幼いころから頭も良く、心根も
お優しくて、周囲の人々の愛情を
たっぷりとお受けになりましたと
も。ですが16歳の時にナイトの任官
をなさってからというもの、お父
上のイスマエル様といつも様々なこ
とで意見が対立してきました。グ
ルーディア伯爵様がケン・ラウヘルと
戦って敗れてからというもの、そ
の対立はどんどんひどくなって、
結局お嬢様は家を出て行かれてし
まいました。
あの美しいお方がこんな危険なと
ころでご苦労なさっているのを見
るだけで胸が締め付けられるよう
ですよ。ですがお嬢様が何かなさ
るときは深い考えがおありになる
んです。あたくしはいつだってラ
イラお嬢様の味方です。だからあ
たくしも今の生活を後悔などして
いませんよ。