オームの長老:

ふぅむ……ここのこともわしらの
こともよく知らんようじゃのう。
ここは、鉱山で強制労働を強いら
れていたオームたちがダークエルフ
の目を逃れて暮らしている場所じ
ゃ。何人かが力をあわせやっとの
ことで抜け出し、苦労の末にこの
ように安全なところを探し当てた
のじゃ。わしは彼らと共に暮らし
ながら、これまで得た知識で彼ら
を導いておるんじゃ。

ここのオームたちを代表して、わ
しらにとって何よりも重要な話を
したいのじゃ。
うむ……お主はわしらオームにつ
いてよく知らんじゃろう。オーム
ははるか昔、巨人族に作られた生
命体だそうじゃ。
わしらオームは、巨人族のために
建物を建てたり物を運んだりと、
彼らの僕として働いていたんじゃ


しかし、わしらの主人ともいえる
巨人族は、なぜかある日突然姿を
消してしまったそうじゃ。今にな
ってもわしらはその理由が判らん
のじゃが…。
とにかく その後、黒い肌に赤い瞳
のダークエルフという存在がここに
きたのじゃ。彼らはこの地での暮
らしが初めてだったので、生きる
ためにわしらに助けを求めてきよ
った。そしてわれらはそれを快く
受け入れた。
彼らがここでの生活に馴染み始め
てから、いろんなことがあったが
……まさかわしらを虐げることは
あるまいと思っておった。

それがいつからか、わしらに対す
る態度が変わったのじゃ。わしら
に助けを求めるとか頼むのではな
く、建物を建てろだの鉱物を掘れ
だのと命令するようになったのじ
ゃ。
何人かのオームは、そんな彼らに
抗議したり仕事を断ったりもし
たが、ダークエルフは反発するオー
ムを殺したり、どこかに連れ去っ
てしまったりと有無を言わせず従
わせた。
わしらオームも、幾度か彼らの長
に会いに行ってみたが、わしらと
顔見知りの長には会えずじまいじ
ゃった。
結局、彼らの弾圧にはむかうこと
もできず、今や彼らの奴隷のよう
な暮らしを送っているというわけ
じゃ。

うむ……わしは、地上からきたお
主らがダークエルフと戦うのを見た

それで何じゃが、お主に頼みたい
ことがある。
わしらオームが、ダークエルフから
逃れるように手伝ってはくれぬか
のう。
わしらにはお主のような勇気と力
がないのじゃ。

うむ……そうじゃのう。即答は無
理だということもよく承知してお
る。
もし気が変わったら、またここに
来てくれぬか?