長老ブルディカ:

おぬしは、わしらダークエルフの皮
膚がなぜ暗い色を帯びておるかわ
かるか?
そもそもエルフという種族は、今の
ようにダークエルフとハイエルフで対
立することも、分かれて暮らすこ
ともなかった。

しかし天地創造で光が生まれ影が
生まれたように、光の神に相対す
る暗黒神は自らの勢力を拡大しよ
うと、本来光に属したエルフの祖先
に誘惑の手を差し伸べた。その誘
惑に負けたエルフは闇の神を崇める
ようになり、その皮膚を自らの崇
拝する暗黒神のごとく、暗く染め
ていったのだ。そしてその悲劇的
な事件によって、あたかも光と闇
がせめぎあうように、エルフもダー
クエルフとハイエルフに分かれて今日
まで対立を続けてきたのだ。

しかし、時の流れと共に変わらな
いものはない、ここに暮らすわし
らはまた特別というわけだ。人間
の歴史でいうと、これもまたずい
ぶん古い話だ。

勇猛果敢なダークエルフの中に、あ
る男が現れた。男は、自らの祖先
が犯した過ちを因る血の歴史に、
終止符を打ちたかった。しかし、
すでに遠い昔から暗黒神の信仰に
染まって久しい者たちは、自らの
利権を失うのではという執着と恐
れ、そして邪悪な心によって、そ
の男の考えをたやすく受け入れる
ことはできなかった。

いや、受け入れられないどころか
、その男は自分に共感するダークエ
ルフとともに、故郷から逃げるが
如く追われなければなかった・・


わたしは初めからダークエルフの存
在理由自体が、グランカインのアイン
ハザードに対する復讐の刀のような
道具に過ぎない事がいつも気に入
らなかった。種族を越えて自由意
志を持った地上の全ての生命は、
すべてそれぞれの生きる理由があ
るはずだ。

だが種族全体の目的が神々の些細
な怨念の道具に使われるなんて・
・・今この話を聞いている自分が
そんな道具だとしたら、おぬしは
気に入るか?わしはそれを許すこ
とができないね。

わたしの話はひとまずこれで終わり
だ。面白かったかな。ここにいる
わしらは、ちょうどコウモリのよう
な存在だ。光と闇、エルフと人間。
だれにも歓迎されない存在。

何にせよ、住めば都という言葉も
ある。事実、ここはドワーフの居留
地だった。だが、以前わしらが暮
らしていた場所と大差はないから
、何とか生活していくぶんには、
不足はないのだ。おぬしも誇り高
きダークエルフの戦士であるなら、
自らの信念に従って生きていくこ
とだ。

今後の幸運を祈っておるよ。