ゲラド:

ほぉ…おまえは精霊の子、エルフか
。人間の世界に興味のないおまえ
たちがエルフの森から遠く離れたこ
んなところにまで来るとは、珍しい
な。私も王のそばに仕えていた時
にたった一度だけエルフを見た。

月のナイト
ジリアンがそいつだ。だが、他の人
は分からんが、私は彼をナイトだと
は認めない。主人に仕えないナイト
なんて、話にならん。忠誠心と勇
気こそがナイトの本分だから。

だから私はおまえたちのことも好
きではない。世の中がどうなって
もおまえたちは自分の居心地よい
場所にとどまって何もしない。王
の傍若無人さが日に日にひどくな
っていく今でも、おまえたちはエ
ルフの森で沈黙しているだけだ。

だが、もしおまえが自分に力を貸
してくれる人間を探しているのな
ら、ここのナイトたちの中にいいの
がいるかも知れん。でも、ただ単
に遠足気分で森から出てきたのな
ら、すぐに帰りなさい。人間の世
界はおまえの棲む森のようにお気
楽ではないんだよ。