しかし...俺は満足できなかった。一生涯、働か ずに暮らしていける富、世間の人からの尊敬、そし て愛する妻までいたが、もの足りなさは消えなかっ た。そうさ、俺は歴史に残るような傑作を作りたか ったんだ。頭の中はそのことばっかりで、夜も寝ら れなかった。俺はやがて、弟子と妻を裏切り、何か に取り付かれたように、ひたすら作業に没頭した。 仕事への情熱が執着に変わっていたんだ。そしてそ の時、悪魔がやってきて、悪魔に誘惑されたんだ。
「悪魔の誘惑ですって?」