秘伝のタブレット:

交感石を手にして精神を集中すると、秘伝のタブレ
ットが徐々にまばゆい光に包まれ始めた。耳元で数
百人が同時に経典を読み上げる声が響き渡ると同時
に、頭の中に聞いたこともない知識が流れ込んでく
る。万物の源を悟ったという感触と、何も理解でき
なかったような気分が同時にこみ上げる。

誰かの低い笑い声が聞こえる。そして男の声。

「これでお前が望んでいた継承者がもう一人誕生し
たな」

金髪の女性が答える。

「いいえ、彼の者はまだ歩き始めたばかりの幼子の
ようなもの。しかし母親に守られるだけではなく、
自らの力で歩み始めたのです...」

ゆっくりと目の前のイメージが消え、再び周りの光
景が視界に戻ってきた。今までタブレットから得た
知識を、ここに来て少しずつ理解し始めるようにな
った。タブレットの巡礼はこれで終わりらしい。こ
れからルウン城の村に戻りゴーレム職人テルソン
会おう。