石橋を叩いて壊すページ

ゼロから始めるFactorioの鉄道構築(連動式信号編)

前回の記事では、線路に信号を配置し、列車同士が衝突しない交差点の作り方を紹介した。
しかし交差点が複雑になってくると、ただの信号では列車が他の列車を通せんぼしてしまう場合がある。
ここではスムーズな交通に不可欠な連動式列車用信号の使い方を紹介したい。

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連動式列車用信号は何をするか?

通常の列車用信号は「信号の先の区間に列車がいないとき」緑に光るのに対し、
連動式列車用信号は「信号の先の区間に列車がいなくて、かつ、ひとつ先の信号も緑のとき」緑に光る。
次の画像をご覧いただきたい。


連動式列車用信号の光り方を見るためのいろいろなサンプル。3灯式の信号が通常の列車用信号、1灯式の信号が連動式列車用信号。
一番上のサンプルでは先頭の列車用信号が緑なので、その手前の連動式列車用信号も緑に光る。
2番目のサンプルでは先頭の列車用信号が赤なので、その手前の連動式列車用信号も赤に、さらに手前の信号も数珠繋ぎに赤に光る。
3番目のサンプルでは途中の区間に列車がいるので、その手前の連動式列車用信号は赤に光る。
一番下のサンプルは連動式列車用信号を使わなかった場合の比較で、各信号は信号の先の区間に列車がいれば赤、いなければ緑に光る。
このように連動式列車用信号は「信号の先の区間に列車がいなくて、かつ、ひとつ先の信号も緑のとき」緑に光る。

この信号の光り方は、線路に交差点を作る時に役立つ。
交差点の入口や中間には連動式列車用信号を、交差点の出口には通常の列車用信号を置くようにする。
そうすれば、交差点の中や交差点の先が詰まっているときは交差点入口の信号が赤に光るので、 列車に「交差点の中で停まりそうなときは、交差点の手前で停まって待つ」を実践させることできる。
以下の画像は、実際にそれをやってみた例である。


2本の線路を跨ぐように1本の線路が配された、線路の交差点。
3本の線路それぞれにつき、交差点の入口や中間には連動式、出口には通常の信号機を配置した。
連動式列車用信号を使っているので交差点出口が赤信号の場合は交差点入口も赤信号になり、 赤い列車は青い列車がどくまで交差点に入らずに停まって待つ。

連動式列車用信号にはもう一つ機能がある。
前回の記事で信号が黄色に光る「区間の予約」について記したが、通常の列車用信号では列車は1区間ずつ個別に予約するところ、 連動式列車用信号では今いる場所から交差点を抜けた先までを一括で予約して進む。
交差点の途中に他の列車がいると一括予約ができないため列車は交差点の手前で停車しつづけ、 一括予約が成功してから列車は交差点に入る。
予約された区間には予約をした列車だけが入れるので、 これにより列車が交差点を通過中に他の列車に割り込まれて停車させられる心配もなくなる。


赤い列車が交差点を越えようとしている場面。こちらも信号の色にご注目。
赤い列車の目の前の信号3つがすべて黄色に光っており、複数の区間が一括で予約されていることがわかる。
予約された区間には予約をした列車だけが入れるため、緑と黄色の列車に対しては赤信号が出ており、 これらの列車は赤い列車が通り過ぎるまで交差点に入らず待っていてくれる。

そんなわけで、線路に交差点を作る時は、
① まずは線路だけ引いて交差点を作る。
② 各列車の進行方向を考えながら、交差点の入口に連動式、出口に通常式の列車用信号を置く。
③ 交通がスムーズになるよう、交差点と交差点の間に連動式を置いて区間を細かく区切る。
という流れで進めるといい感じになる。
線路が密集していて信号を置くスペースがないときは、線路自体をひきなおしてスペースを確保してみるのもいいだろう。

ただし連動式列車用信号にはひとつ注意点がある。 交差点を抜けた先の区間には、十分な長さを確保しなければならない。
以下の図で、赤い列車は3両編成だが、交差点を抜けた先の区間は1両分の長さしかない。
連動式列車用信号は交差点の先の区間に列車がいないことはチェックするが、列車の長さまではチェックしないので、 赤い列車は交差点を抜けた後で結局赤信号につかまってしまい、交差点にしっぽを残して停車してしまう。


一見問題ないように見えるが、交差点を抜けたあとの区間が1両分の長さしかないため3両編成の赤い列車は交差点を抜けきれない。
このようなケースを防ぐため、連動式列車用信号を使うときは交差点を抜けた先の区間は一番長い列車が収まる長さにする必要がある。
ただしこのルールを守りすぎると今度は列車の運転間隔が空きすぎて通行可能本数が減ってしまうため、 ルールを頑なに守るメリットとデメリットを勘案して柔軟にルールを破るくらいがちょうどいいだろう。

線路の分岐地点に連動式列車用信号を置いてみよう

連動式列車用信号のもうひとつの使い方。
線路が途中で分岐しており、そのどちらにも先行列車が止まって線路をふさいでいるような場合を考える。


線路が途中で分岐しているケース。緑と黄色の列車はどちらが先に発車するかはわからない。
連動式列車用信号を使わない場合、赤い列車は行けるところまで行こうとして緑と黄色のどちらかの真後ろにつけてしまう。

自動運転の列車は「線路をバックして戻る」という機能は付いていないので、 上図のように赤い列車が黄色の列車の後ろにつけたあと緑の列車が先に発車してしまうと、 列車がいなくなって空いた線路を横目で見ながら、我が道を塞ぐ黄色い列車にやきもきする羽目になる。
もし赤い列車に「分岐の手前で停車して、2本の線路のどちらか空いたほうへ進む」という能動さがあったなら、 赤い列車はよりスムーズにこの場所を通過できたはずである。

こんなときも、連動式列車用信号の出番である。
線路の分岐部を交差点に見立て、「交差点(=分岐部)の中で停まりそうなときは、手前で停まって待つ」ルールを適用することで、 列車はどちらかの線路が空くまで分岐の手前で停まって様子を窺うことが出来るようになる。


分岐の手前に連動式列車用信号を置いておくと、後続の赤い列車は連動式列車用信号の先のいずれかの区間を予約しようとする。
しかし図の場合はいずれの区間も列車がいて予約できないため、赤い列車は信号の手前で停車し、区間が予約できるまで待つ。
どちらかの列車が駅を発車すると線路が空くので、赤い列車は空いたほうの区間に予約を入れて発車する。
こちらも、「分岐(交差点)の入口に連動式、出口に通常式の列車用信号を置く」という点で上記した信号の置き方のルールに準じている。

ちなみにこのようなケースでは、連動式列車用信号が水色に光る場合がある。
連動式列車用信号の水色信号は、信号の先で線路が2本以上に分かれており、赤信号の線路と緑信号の線路が混在していることを示している。
混在していない(先の線路が全部赤か緑信号の)場合は連動式列車用信号も赤か緑信号になる。
水色の信号は、その先にある緑信号の線路へ進もうとする列車にとっては緑信号、 赤信号の線路へ進もうとする列車にとっては赤信号と同じ意味を持つ。

往復可能な単線の線路をひいてみよう

連動式列車用信号を使うと、往復可能な単線を作ることができる。
往復可能な単線とは、1本の線路を列車が往復、どちらにでも走れる状態である。

往復可能な単線は線路が1本で済むので、往路と復路のために線路を2本ひくのに比べて使うレールの数を半減できる。
しかし信号の配置が複雑になり、難易度が格段に上がるし、交通量も制限される。
正直申し上げて、お勧めは致しかねる。 地方の単線ローカル鉄道にロマンを感じる人か、どうしても線路を2本引けない場合の応急措置用である。

今まで本記事では「2本の線路が直角に重なった交差点」を見てきたが、 往復可能な単線は「2本の線路が1本に重なった細長い交差点」と考えよう。
そうすれば今までに書いたのと同様、「交差点の入口に連動式、出口に通常式の列車用信号を置く」の信号の置き方がそのまま適用できる。


完成した往復可能な単線の図。線路は一本だが、左方向へも右方向へも走ることが出来る。
当然ながら、左右両方から同時に列車が来ると中央でぶつかってしまうので、そうならないよう信号が活躍する。
これも上記同様、単線区間(≒交差点)の入口に連動式、出口に通常式の信号を置くという点では共通ルール。
連動式列車用信号を使うことで、単線を抜けた先の区間に列車がおらず、 列車が単線区間を走り抜け切れる(単線の途中で止まらない)ことを保証している。
画像の場合は、予約したい区間に青い列車がいるため赤い列車は単線の手前で停止しているが、 黄色い列車は予約したい区間に他の列車がいないため緑信号が出ており、発車可能になっている。
もし連動式でない通常の列車用信号を使っていたら、赤い列車は行けるところまで行こうとして青い列車の真後ろで詰まってしまい、 黄色い列車の進行を阻害していただろう。

前の記事で既に書いたが、往復可能な単線の途中に信号を設置する場合、線路の左右両側にペアで信号を置く必要がある。


前の記事の画像を再掲。列車は自分から見て線路の右側にある信号だけを見て進む。
区間の区切れ目の列車から見て右側に信号がない場合、列車は前方の区間に列車がいるかわからないため、 この区間の走行を諦めて別のルートを探してしまう。
(上の画像の場合、区間の区切れで信号がないところに信号を追加すれば赤い列車は走行可能になる。)
1本の線路を列車が往復する部分では線路の左右両側に信号が必要。連動式列車用信号でも同様。


単線区間の途中に信号があるケース。単線と単線が交わり、かつ各方向へ曲がることが出来る。
真ん中のクロス部分、斜め4か所、上下左右4か所の計8か所に、線路の両側に2個ずつで合計16個の連動式列車用信号を配置した。
これにより、「左から来た列車が上へ」と「右から来た列車が下へ」のように経路が交錯しない列車同士は交差点を同時に通過できつつも、 「左から右へ」と「上から下へ」のような経路が交錯する列車同士は事故を防ぐという複雑な動きができる。

いろいろな交差点を作ってみよう

最後に、いくらかの交差点の例と、自分が使っているいくつかの交差点の型の画像を載せてみる。


一方通行・単線同士の交差点。基本の形。
交差点の入口に連動式、出口に通常式を置く。


一方通行・単線同士の交差点。右左折が可能なケース。(一方通行なので逆走方向の右左折は作っていない。)
線路の分岐部の手前に連動式が置いてあるのがミソ。 これにより行きたい方向が何らかの理由で詰まっていた場合に分岐の手前で止まるので、 そこから考え直して別ルートで迂回運行してくれる可能性がある。


右側通行・複線のT字路。
だんだん複雑になってきたが、「交差点の入口に連動式、出口に通常式」というパターンは不変。
1枚目の画像は線路同士が隣接していて信号を置く場所がないため区間がうまく区切れず、 1度に1本ずつの列車しか交差点を通過できない。
これはこれでニューヨーク市地下鉄っぽい形でかっこいいのだが、交通のスムーズさが必要な場合は、 2枚目の画像のように線路をS字させたりして信号を置くスペースを確保すると、 「左から右へ」と「右から左へ」のように導線が交錯しない列車同士は交差点を同時に通過可能な形に改善できる。


右側通行・複線の十字路。これも上記と同じ理由で線路の間に信号を置くスペースを確保してから交差させている。
この形はあくまで一例だが、これなら列車同士の事故を防ぎつつ最大4本の列車まで同時に交差点を通過できる。
どんなに複雑に見えても「交差点の入口に連動式、出口に通常式、交差点の間を連動式で区切る」のルールで信号が置かれていることに気づけば、 ここからどんな発展形の交差点も作っていける。


右側通行・複線から単線が1本飛び出すケース。
1枚目左は複線から単線への一方通行(単線への入口)、1枚目右は単線から複線への一方通行(単線からの出口)、 2枚目は複線と往復可能な単線との交差点。
複線部分の左行き線路と右行き線路の間を区切るように信号が置かれているので、 単線との出入りがないときは左右行きの線路が相互に干渉せずスムーズな交通が可能。
これらは単線を使いたい時というよりは、主要幹線から外へ一本線路を飛び出させて、 沿道の駅に列車を引き込み、再度主要幹線に合流させたい時に使う。
3枚目の画像はその使用例で、左からやってきた列車が駅で石炭を積んでまた左に戻っていくケース。 石炭を使う工場が左にしか無い想定で、右への線路を省略して簡略化している。

ここまでで、線路を引いて信号を配置し、列車を安全に走らせる準備が出来た。
次回の記事では、動き出した列車を止めるための駅と、駅を発車する条件について紹介したい。

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